16/3期の立ち上がり順調、引き続き割安感
成長企業としての展開も注目
戦前の名門「浅野財閥」に関わったメンバーによって1948年(昭和23年)に設立された機械商社。「大企業・一流企業を相手にする機械の売買のみに徹する」という社是の下、完全独立の誠実・堅実な商社として成長してきた。石油精製・製紙業界関連設備など素材産業向け商権から始まり、64年には自動車関連設備に進出、その後も79年に医薬品関連装置、82年にエレクトロニクス関連装置に参入し、90年には空港関連の設備機材を手がけるなど、時代の流れに乗って商権を拡大してきた。2005年にカネボウビジョンシステム(現第一実業ビスウィル)を買収、最近では、2014年5月にバイナリー発電装置の国内販売・製造権を米社から取得し、さらに、15年4月には、DJTECH事業(はんだ印刷検査装置)を事業分離して名古屋電機工業(名証2部、6797)に譲渡するなど、必要に応じてM&Aや事業再編成も実行している。
2015年3月期における連結売上高構成比は、プラント・エネルギーが21.0%、エレクトロニクスが25.1%、産業機械が28.6%、海外法人が23.5%、その他が1.8%とバランスがとれている。他方、同期間における連結営業利益(全社・消去前ベース)の構成比は、プラント・エネルギーが12.0%、エレクトロニクスが24.2%、産業機械が41.3%、海外法人が18.8%、その他が3.7%となっており、近年、独自性の強い商権の開拓を積極的に展開している産業機械類の利益貢献度が上昇している。事実、同社は世界的なニーズの変化や技術の進歩に対応した新たな商権の獲得に意欲的に取り組んでおり、バリュー重視の経営形態に加えて成長企業としての展開も注目される。
投資評価「買い」を継続
原油価格下落を背景とするプラント類の成約後退懸念にもかかわらず、同社は昨年来、エチレンや肥料プラントなどの大口案件を受注しており、受注残は豊富だ。もっともこれら大口案件の売上計上は、主に2017年3月期以降に予定されることから、目下、短納期の案件の成約に注力している。短納期・高採算のエレクトロニクス関連システムが好調に伸びるなど、順調な事業展開が続いており、当面の事業環境に大きな懸念材料は見当たらない。機動力を生かした独自性の強い案件の成約など、安定性に加えて成長株としての魅力も高まっていると考えられる。中期的に堅調な業績が予想されることから、投資評価は引き続き「買い」とし、当面のターゲットを現水準(650円前後)に対して約30%高い850円程度とする。
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