1Qは時計を中心に好調な業績
独自機能を持つ商品で差別化、厳しい市場の中で健闘
1946年樫尾製作所として部品加工業からスタート。72年世界初のパーソナル電卓「カシオミニ」を商品化、大ヒットとなる。デジタル化・小型化・省電力化技術を武器に、電子楽器、電子辞書、電子カメラなど独創的な新商品を次々と市場に投入し、事業を拡大してきた。90年代以降は腕時計Gショックやカード型デジカメEXILIMが成功している。携帯電話とTFT小型液晶は他社との協業に方針を変更、両事業共に10年度より連結対象から除外となる。DSC(デジタルカメラ)では「自撮り」タイプなど独自機能を持つ商品で差別化し、厳しい市場の中で健闘。新規分野としてデジタルサイネージやリスト端末などに期待。 2015/3期の売上構成は、コンシューマ(DSC、時計、電卓、電子辞書、電子楽器等)85%、システム(ハンディターミナル、ページプリンタ、プロジェクタ等)12%、その他(受託加工、部品、金型等)3%となっている。電卓、電子辞書、時計など高収益の基盤事業が安定したキャッシュカウとして利益を支えている。DSCは構造改革の効果と差別化戦略で利益を確保できている一方、システム事業の黒字定着が課題となっている。
投資評価は「中立」の見通しを維持
株価は年初来高値圏で推移し、指標面から割安感には乏しい。高い競争力・収益力を誇る時計が国内外で好調を維持しており、今後も収益が大きく崩れる懸念は少ない。しかし、時計の好調は概ね株価に織り込まれたと考えられ、更なる上値を目指すには、システムが想定以上の採算改善を見せるか、新規事業の収益貢献加速など材料が必要とみる。売りか買いかは「中立」の見通しを据え置く。