ヤマハ発動機のビジネスモデルについて
小型エンジン技術やFRP加工技術をベースに多角化を進める
創立1955年。日本楽器製造(現ヤマハ、7951)より分離、独立した。世界シェア2位の二輪車と世界シェアトップの船外機が主力。売り上げ構成は、二輪車事業が6割台半ば、船外機、船舶、ウォータービークルなどのマリン事業が2割弱、四輪バギー、ROV(レクレーショナル・オフハイウェイ・ビークル)などの特機事業1割弱となっている。二輪車事業はアジア比重が高い。マリンと特機事業の中心は北米。海外売上高比率が9割弱と高い。
小型エンジン技術やFRP加工技術をベースに二輪、船外機、汎用・自動車エンジン、四輪バギー、産業用ロボット、電子部品実装機などへ多角化を進めている。二輪で培ったエンジン技術により高回転・高出力の高性能エンジン開発が得意でトヨタ自動車(7203)にエンジンを供給する。また、漁船向けなどの業務用船外機を足がかりに二輪フロンティア市場の開拓に強みを持つ。08年の金融危機による大型二輪や四輪バギーなど先進国ラグジュアリー製品市場縮小で09/12期に赤字に転落した。2013年度からの中期経営計画では「事業規模・財務力・企業力の持続的成長を図り、企業価値を高めることを目指して、2015年に売上高1兆 6,000億円、営業利益率5%を目標として、グループ全社でその達成に向け取り組むが、利益目標は1年前倒しで達成。
各事業で体質改善が顕著、投資評価は「買い」を維持
4日、15/12期上期(1-6月)決算を発表。IFISコンセンサス並みの営業利益697億円(前年同期比42%増)で着地。通常 上向く2Q(4-6月)営業利益が1Q(1-3月)並みに止まったが工場立上げ遅れによるインド業績の一時的悪化などが影響し ており懸念は低い。むしろ、主要インドネシアやブラジル二輪の低迷、新興国通貨安と新興国事業におき逆風が強まる中、 2Q累計、2Qのみでも確り増益を確保していることを評価すべきだろう。背景には新興国、先進国事業並びに、各事業セグ メントにおき着実に体質改善が進んでいることがある。収益拡大のモメンタムは強いとの見方に変化なく指標面(15/12 期TIW予想PER11.8倍)も割安から強気の見方を維持。 目標株価は成長銘柄との位置づけのもと15/12期TIW予想PERで17倍の4,000円程度とする。
先進国での二輪、マリン事業好調が上期大幅増益を牽引>
上期は大幅営業増益。先進国事業が新商品投入効果や構造改革進展による二輪車事業の黒字化や、主に北米での船外機販 売大型化などによるマリン事業の大幅増益、などにより大幅に改善したことが大幅増益に寄与。一方、新興国事業は、ベ トナム、フィリピンでの二輪車販売増、各市場での高価格商品販売増やプラットフォームモデル投入効果などで一部市場 悪化や通貨安影響を吸収し前年並みの業績水準を確保した。
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