アイスタイル 未知数の海外事業に活路@日曜アナリスト
2015年度決算で好業績をあげ勢いに乗るアイスタイルは、@コスメをはじめとしたコスメWEBサービスをメインに、cosme.comなどのEC事業、実店舗での化粧品事業などを手がけるIT・総合化粧品サービス企業である。
論点1:現株価は適正価格か? A.PERなどの指標はほとんど無意味。事業内容と決算を精査すべき
8月7日時点でのPERはおよそ6倍。株式としては割高感があるものの、ITサービス系企業はモノタロウを始めとしてPBR10倍以上の株も珍しくはない。Webサービスでシェア・利益を取っている企業はPBRが割高でも買われる傾向にあるので、業績に期待するならばまだ買いもあり得る。
ただし、割高であることに変わりはないため四半期ごとに決算を確認し、早い段階で売り要素・買い要素を精査したい。
論点2:来季の着地点は? A.小売は新規開店でまだ伸びるか。通期営業利益9~10億は堅く見込める
小売は新規出店のたびに売上・利益ともにプラス効果を発揮している。今年度も新規出店を行うのでこの部分は底堅い。メディア事業は売上高が伸びない予想でありながら増益が見込まれている。コスト面を正確に見込むのは難しいのでここは保留したい。美容事業は利益が出るかどうかはやや懐疑的に見ている。これまで利益が出ていなかった部門でもあるため、ここはやや低めに見込んでおいたほうがいいかもしれない。
投資等内部事情による上下は予想が難しいので細かい上下はあるが、それでもトータルで営業利益9億円は堅いと思われる。
論点3:海外事業の展望は? A.年単位の長期ポジションを持つ場合のみ考慮。四半期ごとに決算を注視
海外事業の売上は前四半期の10倍以上に成長しているが、短期的に見るとまだ利益部門になるには遠い。2015年度Q4でも3,300万円の赤字となっており、まだ収益化には至らない。きちんと利益が出るには少なくとももう1年はかかるのではないか。とはいえ、化粧品業界という限定的な枠を超えて長期的成長を続けるための布石として海外展開は重要であり、この点まだまだ成長の余地を残していると言える。
注意すべきポイントとしては、四半期決算で海外事業が黒字化されるタイミングと、小売店舗事業の採算性が挙げられる。海外事業が黒字化するならば、アイスタイルは長期的にも将来性が見込める。小売事業については、実店舗の閉店に注意すべきである。固定費のかかる小売店舗は不調時にマイナスが大きいため、特に不調時には業績のバロメーターとなり得る。
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