大幅な増収増益も、受注はロボットや石油掘削装置向けで減少
電機製品等のコモディティ化に対応し、顧客拡大を模索中
主力製品の精密減速機「ハーモニック・ドライブ」は、1957年に米国人C.W.マッサーによっ てその原理が発明された。1970年、同装置の実用化を目的に、長谷川歯車と米 USMcorporationとの合弁企業として設立。1989年に子会社分離方式によって独立、現在の形 となる。1998年、日本証券業協会に株式店頭登録。2004年、ジャスダック証券取引所(現・ 東証JASDAQ)に株式上場。
波動歯車装置「ハーモニック・ドライブ」という精密減速機の開発、製造、販売を行う。減速機とは歯車で動力の回転速度を減じることで他の回転軸へ力を伝える装置で、変速機の一種である。減速機の主要メーカーは他に住友重機械工業、ナブテスコなどがある。主力法品である「ハーモニック・ドライブ」は、真円状と楕円状の歯車を組み合わせ、金属のたわみ(弾性力学)を応用することで、精密な位置決めを可能とする減速機。わずか3点の基本部品で構成されるため小型が可能であり、かつ高精度・高効率・高容量など多くの利点を実現している。主たる用途は、小ささと軽さが求められる産業用ロボットの 関節部やモーターヘッドの動力伝達部などで、最大の仕向け先は産業用ロボットメーカー。主な用途として自動車の溶接及び塗装ロボット、スマートフォンやタブレットの製造現場で使用される小型の組み立て・運搬ロボット、工作機械、半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ製造装置など産業用機械の部品などがある。 「ハーモニック・ドライブ」の原理は米国の発明家C.W.マッサーが1957年に考案してもので、基本特許は既に切れている。しかし製造には高い精度の加工技 術が必要で、その大量生産に成功しているのは同社のみである。また同商標も保有している。近年「ハーモニック・ドライブ」よりも低精度低価格の遊星ギヤ型精密減速機製品の提供に 着手。電機製品等のコモディティ化に対応する形で、顧客拡大を模索中。
大幅な増収増益も、受注はロボットや石油掘削装置向けで減少 16/3期1Qの業績は、売上高72億円(前年同期比+17.2%)、営業利益が22億円(同+38.7%)、純利益が16億円(同+48.5%)と大幅な増収増益だった。スマートフォンなどの製造工程で使用される小型の産業用ロボット向け小型減速装置が好調で、半導体製造装置向けや金属工作機械向けも増加した。たが単体での受注高は53億円(同-15.1%)と減少に転じている。用途別では主力の産業用ロボット向けはまとまった受注があった前期から投資が一服した影響により同-26.8%と減少。また原油価格下落を受け石油掘削装置向けは-94.2%、モータメーカー向けギアヘッド向けは同-25.5%と減少した。地域別では北米向けは増加も、中国向けが減少している。
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