来16/9期も医用分野向けを中心に収益増が持続するとみる
長年蓄積してきた研究開発活動が競争力の源泉
「テレビの父」高柳健次郎氏の門下生たちが設立した浜松テレビを前身として1953年設立。カミオカンデに取り付けられた同社製の光電子増倍管()が87年超新星の爆発で放出された素粒子ニュートリノの発見に寄与するなど、研究・学術界でも高い知名度を持つ。同社製品の用途は学術/研究用から産業/医療用まで様々な領域に拡大しており、近年は医療用途の伸びが顕著。レーザー光を使って半導体ウェファーや電子部品を切断するステルスダイシングエンジンでも強みを発揮。光電子増倍管は2位メーカーの撤退(09年)で同社のほぼ独占状態となった。 ( 光センサの一種で、微弱な光を100万~1,000万倍に増幅して検出する) 同社は研究開発型企業で、売上の10%前後のR&D費用を毎年支出。競争力の源泉は長年蓄積してきた研究開発活動にあり、光電子増倍管や医療機器向け光半導体素子の圧倒的なシェアの背景でもある。技術に裏打ちされた高付加価値製品を多品種、数多く手掛けることで、景気の好不調の波を比較的受けにくい収益構造を築いているものの、医療機器や産業用機器の需要動向には影響も受ける。
「アウトパフォーム」の見通しを据え置き>
株価は6月以降軟調な展開となっているが、高値後の短期的な調整局面と見ている。好調な医用機器が来期も引き続き収益増を牽引すると予想される他、世界の高エネルギー物理実験向け光電子増倍管の本格収益貢献や、MEMSを使った超高感度センサーの成長ポテンシャルにも中期的に期待が持てる。今後の株価見通しを変更する必要はないと判断し、「アウトパフォーム」の見通しを据え置く。