アジアの成長が日立製作所を牽引
日立製作所のビジネスモデルについて
長い歴史を持つ同社ではビジネスが多岐にわたり、景気敏感な事業も数多く抱えていることから、マクロ経済環境の影響を受けやすいのが特徴といえる。半導体や液晶パネルから撤退、更にはHDD事業を米国のライバル社に売却するなど、収益ボラティリティの高いビジネスを切り離し、現在は電力、鉄道、ビル、情報・通信システムなどインフラ系を中心に、比較的安定成長の見込める社会イノベーション事業に注力している。近年は上場子会社の整理・統合、一部では完全子会社化も進め、グループ再構築を図っている。
15/3期の売上構成は、情報・通信システム19%、電力システム4%、社会・産業システム15%、電子装置・システム11%、建設機械7%、高機能材料14%、オートモーティブシステム9%、生活・エコシステム7%、金融サービス3%、その他11%となっており、情報・通信システムや建設機械、高機能材料、金融サービスなどで比較的高い収益性を確保している。同期の海外売上比率は47%(アジア23%、北米11%、欧州8%、その他5%)。
現在はHitachi Smart Transformation Project(通称スマトラ)という全社的なコスト構造改革によりオペレーションの効率化、及びキャッシュの創出を図る一方、グローバル成長の加速に向け人財戦略も推進中。ITと社会インフラを併せ持つ強みを活かし、スマートグリッドや水処理システムなど成長分野において現地パートナーと提携して世界的に展開する戦略。プロダクトの更なる強化とサービス事業の拡大により、収益性を中期的に高めていく方針。