弁護士ドットコムが弁護士と消費者(ユーザー)との垣根を崩す
今回は、弁護士ドットコム(6027)を取り上げます。
この会社の主な事業内容は、インターネットを介した法律相談ポータルサイトの運営です。
「みんなの法律相談」というサイトでは、会員登録が必要になりますが、無料で弁護士に質問ができて回答をもらえるという、いわゆる法律相談がネット上で出来るコミュニティサイトです。(閲覧のみの場合は会員登録不要。また、スマートフォンからは月額300円が必要←これは、ユーザーのプライバシーの観点から携帯端末との親和性が高いため)
あと、このポータルサイトに登録している弁護士の方や法律事務所を検索できる「弁護士検索」というのがあります。これは、今まで一般的に相談をしたくても弁護士という敷居が高く一般的に遠い存在であったものを、このサイトを介すことで双方を近づけるきっかけとなっています。
現状の日本においては、人々の生活環境や人生の歩み方、ライフスタイルの変化など、多様化が進んでいることもあって、それに伴い大きなトラブルや、ちょっとした悩み事を抱えている消費者が多くいます。 そういう中で、今まで敷居が高かった弁護士への法律相談や紹介などをこのサイトが解決してくれるきっかけを作ったことで、その垣根が低くなりつつあります。 会員数の増加はそれを裏付ける証拠でもあるかと思います。 また、提供する側の弁護士の登録数も増えています。弁護士と消費者との橋渡しを良い形でしている会社です。
ここからは、業績面を見ていきます。 2016年3月期第1四半期の業績は売上高、営業利益、経常利益、四半期純利益すべて、倍以上の好決算でした。 主な要因は広告宣伝効果の他、有料会員サービス、弁護士マーケティング支援サービスが順調に数を増やしていることが挙げられます (損益計算書のグラフがないので、以下の日経電子版の資料をご参照ください)
http://www.nikkei.com/markets/company/kessan/shihyo.aspx?scode=6027
有料会員数は5万人を突破し、今後も増加傾向であり、有料会員弁護士数は2015年6月現在で1654人とこれもまた、右肩上がりで増加しています。弁護士からみてもこのようなサイトは仕事の幅を増やすチャンスと捉えているのでしょう。
また、弁護士だけでなく「税理士ドットコム」と称す、税理士版の運営も始めており、士業のさらなる展開も予想されます。 弁護士業界自体は2000年以降の司法試験制度改革により、弁護士の数がどんどん増えています。その分、司法試験に合格したものの仕事があまりないという弁護士の方も多くいることは事実です。そういったニーズにも対応しているという事も良い傾向です。
今後は、この企業がモットーとしている「身近な司法」というものをインターネットで展開することにより、法務相談がより一層拡大していくと考えられます。そうなればおのずと今後の業績の見通しも明るいことでしょう。
以下は参考データです。
H25年6月時点で月間サイト訪問者数552万人、 登録弁護士数は国内弁護士の2割強の8235名に到達
また、ライトユーザーにも対応しているので、今後の有料会員登録にも繋がるチャネル展開をしています。
私事で失礼ですが、自分は既にこの企業に投資をしております。
何よりも投資魅力を感じているのは、今のところ類似企業がなく、非常にニッチな業務を行っており、且つ今後のニーズをしっかり捉えている企業だと言えるからです。 業績は順調に伸ばしてきています。現状の財務面の安定も含め、マザーズ上場後から、いわゆる成長期に入った段階だと言えます。新興市場であるという事は肝に銘じつつも、投資対象企業として挙げても良いのではないでしょうか。