投資評価は「買い」を継続、日産自動車
6カ年計画で再び成長を加速
1933年12月設立。90年代に業績不振に陥ったが、99年にルノーと提携し、ゴーン社長の下でコスト構造の改善などにより経営体質を刷新した。しかし、世界販売台数420万台を目標に掲げた「日産バリューアップ」は未達成となり、5年間平均で売上高5%増大を目標とした「日産GT2012」(08年5月発表)もリーマンショックで一時中断した。利益改善とキャッシュの確保に重点を置いた「リカバリー」プランにより危機を脱し、11年度からの6カ年新中期計画では最終年の目標を世界シェア8%、営業利益率8%と置き、再び成長を加速させる。 重要となる新興国、小型車対応では需要地でもあるタイ、インド、中国、メキシコなどでグローバルコンパクトカーを生産、そこから世界各地域への供給を図る。皮切りとして10年3月よりタイで新型「マーチ」を生産開始した。また、提携先ルノーとは車台共同利用、部品共同購買、混流生産などでシナジー強化の方向。さらには、独ダイムラーと戦略的協力関係を締結し、軽自動車の合弁事業会社の設立を含む三菱自動車(7211)との協力関係を拡大。環境対応車は電気自動車のリーダーを目指し10年末に量販電気自動車「リーフ」を投入。
1Qの好発進を受け、投資評価は「買い」を継続
29日、16/3期1Q(4-6月)決算を発表。大幅増収、大幅営業増益、過去最高純益で着地。営業利益はTIW予想1,550億円並びに市場予想を優に上回る好決算となった。 1)1Q決算では日本を除く各地域でシェア拡大が図れた。 2)主要北米では主力「アルティマ」のエイジングやセグメント内での競争激化などから販売インティブが増加したにも関わらず、数量増と販売構成の改善により従来からOPMは改善。 などが評価できよう。加えて、 1)通期で会社計画以上の増益が見込めること。 2)中計目標(世界シェア8%、OPM8%)へ向け着実な進展がみられる。 3)指標面(16/3期TIW予想ROE9.99%に対し実績PBR1.01倍)が割安。 などの点から、中国に不透明感が残るとはいえ、投資評価は「買い」を継続する。
同社販売台数の2割強を占める中国は下期に持っていないセグメントでの新車投入があり純増に繋がるとの同社固有の事情があるとはいえ、足下で市場自体が急減速。中国懸念が収まれば好業績を評価し株価は大きく上向くとみる。
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